トヨタ RAV4が1994年、ホンダ CR-Vは1995年に初代が誕生し、以来、競合車種と位置付けられてきた。ともに5ナンバーのSUVとして生まれ、その後、北米や世界の市場を視野に3ナンバー化され、今日に至る。
現在の世界での販売台数は、昨2019年の1~12月でRAV4が96万5760台であるのに対し、CR-Vは82万4708台で、ほぼ拮抗しているといえる。
というのも、RAV4は2018年に5代目へフルモデルチェンジをしているのに対し、CH-Rはその2年前の2016年にフルモデルチェンジを済ませ、3年(昨年時点)が経過しての実績であるからだ。
新鮮さという点で、RAV4は消費者への訴えかけで有利といえる。なおかつ、CR-Vは近年のSUV人気を背景に、ホンダ車でもっとも売れている車種でもある。
一方、国内に目を転じると、RAV4が昨年1年の販売が5万3965台であったのに対し、CR-Vは1万3041台に止まり、4分の1という大差が開いた。
文:御堀直嗣
写真:TOYOTA、HONDA、編集部
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日本国内で明暗わかれたRAV4とCR-V
新車効果がRAV4に働き、CR-Vは車種選びに加われなかったと思いがちだ。しかし、CR-Vが2016年に発売開始されたのは北米であり、日本への導入は2年遅れの2018年8月である。
したがって国内の消費者にとってCR-Vは、それほど古い車種との意識はなかったかもしれない。
発売された2018年8月以降のCR-Vの国内販売台数(日本自動車販売協会連合会)を調べると、8月は1344台で35位。9月は3桁に落ちて938台で46位、10月は1129へ若干盛り返して41位、11月になって2155台とこの年最大の販売台数で32位となる。だが、12月は再び3桁に落ち込んで963台の40位となっている。
昨年一年の台数はすでに述べたとおりだが、月別の販売台数でベスト50に入らないときが6か月もあった。
RAV4はベスト10に何度も入り、年間の販売台数の順位は16位で、C-HRの15位に次ぐ人気ぶりだ。
近年世界的にSUVに注目が集まるなか、RAV4はコンパクトSUVと中型のSUVの両方で堅調な販売を続けた様子がうかがえる。43位に留まったCR-Vは、C-HRより成績がよかったヴェゼルの14位と比べ、落差は大きい。
さらに、日産 エクストレイル(24位)、スバル フォレスター(28位)、マツダ CX-5(29位)、マツダ CX-8(36位)などと比較しても、CR-Vの不本意な成績が目立つ。
競合他社の発売時期は、エクストレイルが2013年、フォレスターは2018年、マツダCX-5は2017年、マツダ CX-8は2017年であり、CR-VだけがRAV4に比べ古さを覚えさせるわけでもない。
ホンダらしさ発揮したCR-Vも米国人気で大型化
ホンダ CR-Vは、1994年に登場したミニバンのオデッセイに次ぐクリエイティブムーバー第2弾として翌1995年に誕生した。
いずれも乗用車のアコードやシビックを基に開発されたミニバンやSUVであり、これらをあえてクリエイティブムーバー(生活創造車)と名付けて発売したところに、クルマづくりと販売の両面でホンダの独創性が発揮された。
それは、技術や車両の開発を行う本田技術研究所と、販売を担うホンダ本社の連携を見事に結実させた戦略だった。
なおかつ、広告・宣伝が重要な働きを担っていた。ホンダ車に乗ることがどれほど生活を豊かにしてくれるかという夢を大きく広げ、羽ばたかせたのである。
その直前、ホンダは危機的経営状況にあった。1980年代から一世を風靡したいすゞ ビッグホーンや三菱 パジェロのような、レクリエイショナルヴィークル(RV)を持たないホンダが倒産するのではないかとの噂もたち、三菱自動車工業との合併もささやかれていたのである。
そうした危機を立ち直らせるばかりか、ミニバンとSUVの時代をつくり、先端を行く自動車メーカーへホンダを飛躍させたのがクリエイティブムーバー各車であった。
ほかに、ステップワゴンと、S-MXがある。これらのうち、S-MXは今日姿を見ないが、現在のフリードに相当するといえなくもない。
いずれにしても、ホンダ再建の立役者であったクリエイティブムーバーのCR-Vも高い人気を得、米国でも販売され好評を博した。
しかし米国での人気が、新車の大型化をうながし、ことに3代目以降は見るからに大きくなった印象を与えた。そして4代目の途中の2016年に、日本市場への導入を終えたのである。これを補完したのが、2013年末に売り出されたヴェゼルだ。
同じく大型化辿ったRAV4も新型はあえて「変化」求める
実はRAV4も、同様の道を歩んだ。結果、4代目は当初から日本で販売されていない。空白期間は、2013~2018年の5年におよび、RAV4の存在も忘れられかけていた。
しかしトヨタは、RAV4の空白期間がより長かったぶん、5代目の導入に際し全精力をつぎ込む開発と、広報・宣伝活動を行った。
米国で、それまでの乗用車販売1位を15年間続けてきたカムリを抜いてRAV4が2017年に1位となり、5代目の開発に際して北米市場からは従来路線の継承が望まれていた。
しかし5代目の開発を担った主査は、あえて変化を求めた。たとえ5代目が継承路線で成功したとしても、その先はないと読んだのだ。なおかつ同主査は、米国のハイランダー(国内ではクルーガー)と、国内のハリアーも担当しており、それらとRAV4を明確に分ける意識も働かせた。
まず、概観を大きく変えた。また、より本格的な4輪駆動車としての進化も技術的に加えた。
もちろん、ランドクルーザーやランドクルーザープラドのようなクルマにしようとしたわけではない。しかし、より頼りがいのある走りになったことを、外観と技術で明らかにした。
現行CR-Vの苦戦は今のホンダを象徴している
対するCR-Vの現行5代目は、あくまで4代目の継承・進化という姿であり、さらには3代目にも通じるような一連の流れの中での進歩にとどまっているように見える。3列シートの選択肢とハイブリッド車が加わったとはいえ、消費者の目にはあえて新車を買う意味を感じさせにくいのではないだろうか。
それでも試乗した印象はとてもよいクルマの感触があり、運転も楽しく、競合他社と並べて比べる意味のある一台と思わせた。
ただ、日本への再導入に際し、北米ではすでに2年前の1016年に発売されていたことから、CR-Vはそれほど大々的な発表会を催さなかった。販売計画台数も1200台/月と控えめだ。
RAV4の計画販売台数は、3000台/月であり、2倍以上だ。全国の販売点数がトヨタは約4900点であるのに対しホンダは約2200店であり、販売拠点数の差が出ているといえなくもない。
しかし、RAV4が昨年月平均で4500台近くを売ったのに対し、CR-Vは月平均で1100台に届かない。
単に販売店舗数の差や営業の力量だけではなさそうだ。ホンダカーズとして全店舗で同じ車種を扱う現在、軽自動車のN‐BOXは圧倒的な差で1位を連続で達成しているからだ。
ホンダが初代CR-Vを売り出したかつて、倒産の危機から脱しようと、研究所、本社、そして広告代理店が一体となり、全力で打ち出したクリエイティブムーバーの時代と、現在のCR-Vの販売にかける投資と団結力が大きくかけ離れているように見える。
これでは消費者の選択肢に加わりにくい。ホンダ本社の経営が揺れ動く様を、SUV人気が続く市場にもかかわらず低迷するCR-Vの販売台数が表わしているようだ。
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April 15, 2020 at 05:00AM
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