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異端車とともに歩むカーライフ 愛すべき変態グルマたち 30選 | 自動車情報誌「ベストカー」 - ベストカーWeb

 図らずも売れなかったクルマたち。(どうしてそうなったのかは皆目見当もつかないが)その異様によりメインストリームから弾き出されてしまったクルマたち。

 しかし、そんなクルマたちにもメインストリームのそれにはない魅力が潜んでいることを私たちは知っている。そんなクルマたちとともに歩む日々だけが与えてくれる愉しさも、だ。

 本企画は、陽の当たらなかったクルマたちを愛を込めて「変態グルマ」と称し、中古車として買ってカーライフを送ってみようではないか! という提案である!

【画像ギャラリー】本稿でご紹介した以外にも続々! 唯一無二の愉しさを持った「異端車」たちをギャラリーでチェック!!!

※本稿は2020年3月のものです
文:伊達軍曹/写真:ベストカー編集部/データ出典:カーセンサー(2月25日付)
初出:『ベストカー』 2020年4月10日号


■名門トヨタ 日産から生まれ落ちた異端車たち

「愛すべき変態グルマ」というと、一部の輸入車インポーターや日本のマイナーメーカーの専売特許というイメージもあるが、日本を代表する超一流企業であるトヨタからも時おり、愛すべき変態グルマは登場している。

 例えばトヨタコンフォートGT-Zスーパーチャージャー。これは正確にはトヨタ自動車ではなく子会社の「トヨタテクノクラフト」が2002年に60台限定で作ったものだが、コンフォートの教習車に3S-FE型ハイメカツインカムを載せ、そこにスーパーチャージャー等も組み合わせたというトンパチなモデル。

●トヨタ コンフォートGT-Zスーパーチャージャー(中古車価格:250万円)

 いちおう関東のトヨペット店で限定販売され、中古車も(1台だけだが)流通している。そのお値段は250万円。あえてこの中古車を買う男のことは“サムライ”と呼びたい。

 トヨタテクノクラフトはほかにもやらかして(?)いて、7代目のカローラとカローラセレスにMR2やセリカなどと同じ3S-GE型2Lエンジンを載せたTRD2000なるクルマも限定販売。だがこれの中古車は現在さすがに流通ゼロで、完全に絶滅したか、あるいは好事家がガレージか納屋で大切に保管しているものと思われる。

 トヨタの本体がリリースした愛すべき変態グルマ(なんて言ったら怒るかもしれないが)は、せいぜいスターレットREMIXぐらいか? これは5代目スターレットに「女性向けのアウトドアテイスト」を加えたという謎グレード。

●トヨタ スターレットREMIX(中古車価格:54万・98万円)

 まるで売れなかったが、現在のクロスオーバーSUVブームを先取りしていたとも言える(先取りしすぎたのかもしれないが)。中古車は2台流通していて、価格は54万円と98万円。……意外と高い!

 日産には“いぶし銀”な愛すべき変態グルマがある。それはずばりスカイランGT-8。なぜかいきなりV35スカイラインのエクスロイドCVTに8段のギアを切り、パドルシフトまで付けたというモデルだ。最上級グレードだったが、外観からは高いことがまったく伝わらない仕様だったためか、あまり売れず。中古車も今や1台のみで、しかも39万円というわびしいプライスが付いている。

●日産 スカイラインGT-8(中古車価格:39万円)

■三菱は変態グルマの宝庫だった!

 ホンダでは、通称「ブルドッグ」と呼ばれたシティターボIIも今や愛すべき変態グルマと呼べる存在になっているが、それ以上に、今乗っていると「……ステージが高い!」と言われそうなのがインテグラSJだ。

●ホンダ インテグラSJ(中古車価格:30・80万円)

 インテグラの派生車種だが、なぜか顔がオルティアで、身体はEK型シビック、そして車名がインテグラという混乱っぷり。

 この極めてカオスなクルマに2020年の今、あえて乗るというサムライは30万円から80万円ほどの予算を用意すべし。そうすれば、カーセンサーとかを通じて中古車を買うことができる。まぁ今や全国で2台しか流通していないのだが。

 そして三菱は、もしかしたら「愛すべき変態グルマ」の宝庫かもしれない。少なくとも1990年代までの三菱はそうだった。例えば、言わずと知れたデボネアAMG。

●三菱 デボネアAMG(中古車相場:50万~100万円)

 2代目デボネアにドイツのAMGが監修したエアロパーツとアルミホイールなどをくっつけたモデルで、ちょっと前までは失笑の対象でしかなかった。

 だが今改めて虚心坦懐にデボネアAMGを見ると、スクエア系のデザインがカッコいいような気もする(気のせいかもしれないが)。中古車は3台が流通量しており、その相場は50万~100万円といったところだ。

 また三菱では「変態グルマの金字塔」ことミラージュXYVYX(ザイビクス)にも注目したいところだ。3代目ミラージュのリアサイドウィンドウを潰した2シーター車で、“クリエイティブスペース”と名付けた後部の謎空間を「どうぞご自由に使ってください!」というのが三菱の言い分だった。

●三菱 ミラージュXYVYX(中古車相場:30万~40万円・BC調べ)

 だがあまりに謎すぎたためほとんど売れなかったのだが、今こそ我々は三菱の遺志を継ぎ、中古で買ったザイビクスのクリエイティブスペースを有効活用するべきなのかも! ……と思ったが、現在の中古車流通は完全にゼロ。無念なり。

■無印良品の「ムジカー」知ってますか?

 三菱ではパジェロJr.のフライングパグもトンパチな1台として注目したいところだが(中古車はなんと4台も流通していて、相場は40万~70万円ぐらいだ)、三菱の話ばかりしていてもしょうがないため次へいこう。スズキである。

 スズキの愛すべき変態グルマといえばX-90にとどめを刺す。SUVなのにTバールーフの2シーターで、都会派SUVなのにラダーフレーム構造で……というすべてが謎な規格だが、今となっては謎なところが逆に愛らしい。

●スズキ X-90(中古車相場:約40万~約70万円・98万円)

 中古車も4台がしぶとく流通しており、相場も約40万円から約70万円とまあまあ手頃。1台だけ「98万円」という物件もあるが、「天然記念物みたいなもの」と考えれば、決して法外に高くはないはず。

 天然記念物みたいなものといえば、クロスオーバーSUVにおけるデザイン的傑作と言えるいすゞビークロスも忘れることはできない。

 デザインはそのまま、中身を今時のモノに変えて売り出せばけっこう売れると思うのだが、肝心のいすゞが乗用車から撤退してしまっている。無念。ちなみにビークロスの中古車は今なお6台ほど流通しており、相場は50万~100万円といったところだ。

 そのほかではダイハツリーザスパイダーや無印良品のムジカー1000が強烈な変態臭を放っているが、残念ながらどちらも中古車の流通量はゼロ。光岡自動車のオロチ(流通量6台/相場750万~1100万円)あたりを買ってお茶を濁すしかない。

●ダイハツ リーザスパイダー(中古車相場:30万~40万円・BC調べ)

●無印良品 ムジカー1000(中古車相場:10万~20万円・BC調べ)

 輸入車編にまいろう。輸入車における愛すべき変態グルマといえば、フィアットムルティプラの前期型とルノーアヴァンタイムあたりが、まずは有名なところ。

 ムルティプラの前期型は単純に顔つきが変態っぽく、アヴァンタイムは「ミニバンなのに2ドアクーペである」という点が変態の変態たるゆえんだ。だが乗るとどちらも非常に素晴らしいクルマではある。

●フィアット ムルティプラ(中古車相場:30万~100万円)

 ムルティプラの前期型中古車は30万~100万円ぐらい、アヴァンタイムは60万~120万円ぐらいというのが現在の中古車相場となっている。

●ルノー アヴァンタイム(中古車相場:60万~120万円)

 そのほかでは、全然売れなかったけど今見るとけっこう可愛いフォードKaで自動車変態を気取るのもいいが、中古車の流通量はわずか1台。それよりも幻の“日本車キラー”であったサターンのSW2でシブくキメたい……と思ったが、こちらも中古車の流通量はわずか1台であった。約20万円。無念。

●サターン SW2(中古車価格:約20万円)

 まぁハッキリ言って輸入車は「愛すべき変態グルマ」の宝庫なので、ひとつずつ取り上げていくとキリがない。

 ミニをベースに作られたゴルフカートみたいなクルマであるミニモーク(200万~330万円)でキメるのもいいし、ロンドンタクシーTX4(まさにロンドンのタクシー車両。中古車は約300万円)で、道行く人々からタクシーと間違われて手を上げられるのもオツなものだ。

●BMC ミニモーク(中古車相場:200万~330万円)

 またあるいは、「イタリア車」から「アメリカ車」に変わったことでマニアからそっぽを向かれたクライスラーイプシロン(30万~80万円)を今こそすくい上げるのも、非常に英雄的行為だと言えよう。

●クライスラー イプシロン(中古車相場:30万~80万円)

■クラシックモデルにもいいタマがあるぞ!

 しかし究極は「ウニモグの普段使い」ではないか?

●メルセデス ウニモグ(中古車相場:600万~850万円・BC調べ)

 ウニモグというのはドイツのダイムラーがメルセデス・ベンツブランドで製造販売している多目的作業用自動車。

 それを、普段使いするのだ。ラテンパーカッショニストであるパラダイス山元さんはウニモグマニアだそうだが、山元さん以外にもウニモグ(アーバンウニモグ)を普段使いしている人は少数ながら存在している。ただ、中古車相場がかなり高いのが玉にキズではあるのだが。

 ウニモグはさすがに浮世離れしているということであれば、ボルボのクラシックモデルあたりが、ちょうどいい変態感を放つ狙いどころだ。P1800(250万~440万円)やアマゾン(330万円~)であれば割と普通に流通しており、ボルボ・カー・ジャパン直営のクラシック専門工場もある。

●ボルボ P1800(中古車相場:250万~400万円)

●ボルボ アマゾン(中古車相場:330万円~)

「まるでスーパーカー消しゴムのようなクルマ」とも言えるフィアットX1/9(190万~300万円)や、変態度は多少マイルドになってしまうが、セールス的には大コケしたコンパクトオープンカーであるルノーウインド(90万~160万円)も捨て難い。

●フィアット X1/9(中古車相場:190万~300万円)

●ルノー ウインド(中古車相場:90万~160万円)

 またこちらは「有名すぎて変態度が薄い」とも言えるシトロエンDS(460万~1000万円)だが、やはり一度は手にしてみたい変態グルマだと言えよう。

●シトロエン DS(中古車相場:460万~1000万円)

 とはいえシトロエンDSは今やあまりにも高額ゆえ、現実的な線で“愛され変態道”を極めるのであれば、プジョー807(100万~110万円)やフィアットデュカト(220万円~)あたりの「日本には正規輸入されていない欧州車」を普段使いするのが一番かも。

●プジョー 807(中古車相場:100万~110万円)

●フィアット デュカト(中古車相場:220万円~)

 あるいはロシアのクロカン四駆であるラーダニーヴァ(約250万・300万円)で「謎の東洋系ロシア人」を気取るのもかなりステキだ。いちおう全国で2台ぐらいは流通しているのですよ、ラーダニーヴァって!

●ラーダ ニーヴァ(中古車価格:約250万・300万円)

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April 14, 2020 at 05:00PM
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