米大統領選で民主党のバイデン前副大統領(77)が6日朝、東部ペンシルベニア州で逆転して勝利が目前になる中、トランプ大統領(74)は郵便投票を「不正」と決めつけて訴訟を起こし、徹底抗戦する構えを崩していない。2000年の大統領選では共和党のブッシュ(子)氏と民主党のゴア氏が、南部フロリダ州の再集計を巡って連邦最高裁に判断を仰いだ。しかし、今回は各州の規定に従った郵便投票についてトランプ氏が「カウントするな」と強引な主張を繰り返しており、最終決着までにはなお混乱が続きそうだ。(ワシントン・岩田仲弘、金杉貴雄)
◆「再集計を」「集計中止を」 一貫性欠くトランプ陣営
20年前との違いは開票作業が終了していない段階にもかかわらず、訴えを乱発していることだ。
ブッシュ氏とゴア氏の争いは、フロリダ州で勝利した候補が当選する状況で、得票差が1784票(総投票数の0.03%)とまれに見る僅差でブッシュ氏勝利とされたため。州法の規定に沿い、ゴア陣営が手作業の再集計を求めた。
トランプ陣営もバイデン氏に得票率0.6ポイント差で敗れた中西部ウィスコンシン州では、規定に基づいて再集計を要求した。
その一方、トランプ陣営はペンシルベニアやミシガン、ジョージアの各州では「共和党側の選挙立会人が開票所で不正行為の監視ができない」として相次いで集計中止を求めるなど一貫性を欠いている。
◆扇動されるトランプ支持者
トランプ氏は5日、「民主党は選挙を盗もうとしている」「(ミシガン州)デトロイトの職員は投票用紙を複製している」と根拠を示さずに主張。各州で懸命の開票作業が続く中、民主党がトップを務める自治体を名指しで非難した。
ミシガン州で選挙を統括するジョスリン・ベンソン州務長官は、トランプ氏の発言について「意味がなく浅はかだ」と反発。ミシガン、ジョージア両州で起こした訴訟は5日、いずれも裁判所に却下された。
トランプ氏の訴えを信じた支持者らは、集計中止を求め東部ペンシルベニア州など各地の開票所に押しかけ緊張が高まる。トランプ氏は自制を促すどころか、「詐欺を止めろ」と投稿しており、ツイッター社から警告を受け続けた。
◆「切れ者」起用で法廷闘争も 混乱長期化?
ブッシュ氏とゴア氏の訴訟は投票日から35日後、連邦最高裁が手作業による再集計の停止を命じ、537票差でのブッシュ氏勝利が決まった。ゴア氏は翌日すぐに敗北宣言をして騒ぎは収まった。
ニューヨーク・タイムズ電子版によると、ホワイトハウスは、ブッシュ陣営の顧問弁護士として大活躍したジェームズ・ベーカー元国務長官のような「切れ者」を弁護団に迎え、訴訟を有利に運ぶことを検討しているという。
しかし、ベーカー氏は「私たちはカウントするなとは言っていない。民主主義を守るのに、そんなことはできない」と発言。トランプ陣営が仕掛ける法廷闘争が熱烈支持者を除く米国民を納得させるのは難しい。
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