【フィラデルフィア(米東部ペンシルベニア州)=上塚真由】米独立宣言(1776年)が発せられた地である東部ペンシルベニア州フィラデルフィアが、大統領選の開票作業をめぐって揺れている。フィラデルフィアの開票所前は5日、作業停止を求める共和党のトランプ大統領(74)の支持者と、それに抗議する民主党のバイデン前副大統領(77)の支持者が集結し、計数百人が怒号を飛ばしてにらみ合うなど、騒然となった。
ペンシルベニアは勝敗の行方を決定づける重要州。開票序盤はトランプ氏が優位に立ったが、郵便投票の集計が進むにつれ、バイデン氏との得票差が縮まった。トランプ陣営が票集計の停止などを求めて複数の訴訟を起こし、法廷闘争を活発化させていることに、バイデン氏の支持者は反発を強めている。
トランプ氏の支持者ら数十人は5日朝から開票所前の道路を占拠し、「集計をやめろ!」などと怒号を上げた。トラック運転手の男性(55)は「バイデン氏の票の増え方はおかしい。郵便投票は誰でも不正ができる。いますぐ集計をやめるべきだ」と訴えた。トランプ陣営の弁護士や選対幹部も5日、この場に現れ、開票作業の透明性が確保されるべきだと力説した。
バイデン氏を支持する若者ら数百人は「COUNT EVERY VOTE(すべての票を数えよ)」と書かれたプラカードや横断幕を掲げて対抗した。トランプ派の怒号を打ち消すように大音量の音楽をかけ、「負け犬は立ち去れ!」などと声を上げた。
双方の衝突を避けるために鉄柵が設置されたが、柵越しに激しくののしりあい、警官が仲裁する場面も。「集計をやめるのは民主主義の基本を踏みにじる行為だ」とバイデン氏支持の労組幹部、ジェド・ドッドさん(66)は憤った。
トランプ陣営は4日、フィラデルフィアの開票所で、不正行為を監視する立会人が集計担当者から30フィート(約9メートル)離れるよう当局に命じられたと主張。郵便投票の消印などを確認できないとし、集計停止を求めて提訴した。州裁判所は5日、6フィート(約1・8メートル)まで近づくことを認める決定を出したが、州選管は決定を不服として州最高裁に上訴した。
トランプ陣営は同日、フィラデルフィアの集計差し止めを新たに連邦地裁に申し立てたと発表した。
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