輸入車[2020.04.11 UP]
PORSCHE MACAN/気になる中古車【試乗判定】 人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)が真剣チェック!
文●竹岡圭、九島辰也、グーワールド 写真●グーワールド
(掲載されている内容はグーワールド本誌2020年5月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?
この記事の目次
関連情報
輸入車Member Profile
自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
自動車ジャーナリスト【九島辰也】
長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。
ポルシェらしさが詰まったコンパクトSUV
世界中で人気となったスポーツコンパクトSUV
編集部●中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回はポルシェからコンパクトSUVのマカンが登場です。お借りしたのは2019年モデルの「マカンS」で、走行距離は7000kmです。
九島●キレイな個体だなーと思ったら後期型じゃないか。まぁでもマカンはデビューからけっこう時間が経ったし、これから中古車市場も盛り上がるタイミングだもんね。
竹岡●マカンは人気だよね。女性からも乗りたいって声をよく聞くよ。
九島●初代カイエンが出たとき(2002年)には、SUVの市場はアメリカにしかなくて、だからこそあのサイズが必要だった。その後SUVの波がヨーロッパにも広がってきて、ポルシェはマカンを作った。僕は初めて乗ったときに、「ポルシェが作りたかったのはこっちじゃないか」と思ったくらい2台は違う。
竹岡●そうなのかも。カイエンはカイエンでいいクルマなんだけど、乗り味もSUVっぽいもんね。マカンの実物を見て、「コンパクトというわりに大きい!」っていうひとがいるけど、じつはマカンは"ミニ・カイエン"じゃないんですよっていう。
全長は約4.7mで20cm以上短いけど、全幅は多少せまいだけ。
九島●そう、マカンの位置づけは、カイエンのスポーティバージョンと考えたほうがいいかもしれない。
竹岡●マカンって運転席からの見晴らしもいいし、ステアリングを切ればスッとそのとおりにクルマが動くでしょ。だから街中でも運転しやすいって女性にも人気がある。
編集部●そんなマカンが登場したのは2014年で、世界的にも非常に人気が高く、生産台数は世界累計で35万台以上、いまや販売台数の4割を占める存在になりました。
竹岡●初めてのポルシェに選ぶひとが多いみたい。「好きなクルマに乗りたいけど、2台持ちは……」というひとたちにも人気なんじゃない。
九島●4枚ドアだから家族からの反対も出にくいだろうしね。
竹岡●そうだね。ボクスターとかケイマンだと「自分ばっかりずるい」ってなりそうだけど、マカンなら奥様が普段乗りできる(笑)。
編集部●そんなマカンのラインアップですが、導入当初は2L直4ターボの「ベースグレード」(237馬力)、3LV6ツインターボの「S」(340馬力)、3.6LV6ツインターボの「ターボ」(400馬力)からスタート。2015年に3LV6ツインターボを搭載する「GTS」(360馬力)が追加されました。マイナーチェンジは2019年から順次行われており、LEDを用いたヘッドライトと左右がつながったリヤコンビランプが識別点です。10.9インチタッチスクリーンを採用したインフォテインメント機能や先進安全装備も充実しました。
竹岡●エンジンと足まわりが改良されて、走りもさらによくなったよね。
編集部●はい。それぞれ15馬力から20馬力程度パワーアップしています。
九島●デザインの変更は最新のテイストに合わせるのが目的。変更が少ないのは、それだけポルシェがマカンを真剣に作ったってこと。
編集部●それでは、試乗のほうをお願いします。
九島「買ってよかったと思える満足感を与えてくれる」
竹岡「機敏なハンドリングは女性にも人気です」
DETAIL CHECK
乗れば人気の高さに納得!輸入車界のスター選手
編集部●試乗から戻ってきた二人に感想を伺いましょう。
九島●いいクルマだね。自分がほしいくらいだよ。
竹岡●本当に(笑)。今日の試乗車は新車と変わらない乗り味だった。
編集部●絶賛ですね。お借りしたクルマは「S」でしたが、グレード選びについてはどうでしょう。
九島●クルマ好き目線でいうとベースモデルがよくなったのはマイチェン後なので、前期なら「S」。後期ならベースモデルでも十分。
竹岡●同じ意見。ポルシェらしさを求めるなら「S」以上がオススメ。「GTS」はいろいろ装備がついてお買い得感あるんだけど、かなりスポーティなので個人的には「S」が好み。
編集部●その「ポルシェらしさ」というのを、もう少しご説明ください。
竹岡●そうだね、スポーティというと簡単だけど、スポーツカーだと思わせる感覚、乗り味じゃないかな。
編集部●マカンはSUVなのにスポーツカーのようである、と。
九島●それとポルシェというスポーツカーブランドを手にする意味合い。買ってよかったなと思わせる何かがあるんだよ。そういうところが上手だし、ずるいんだ(笑)。
竹岡●中古車も人気なんでしょ?
編集部●もともとポルシェ自体人気が高いのですが、なかでもマカンは人気で、認定中古車は入庫するとすぐ売れてしまうそうです。中古車相場は前期の「S」で500万円前半。物件の数は各グレードほぼ同じです。
九島●たしかに安くはないけど、ポルシェの場合はオプション代が含まれているからね。
竹岡●いろんな意味でマカンって、バランスが取れていて魅力的なんです。
SUV的な見晴らしとスポーツカー的感覚の融合
コックピットに座った印象はまさしくポルシェで、カイエンに比べてアイポイントが低いこともあって、よりスポーティな印象。マイナーチェンジ後のモデルはセンターの液晶が大型化され、音声入力機能を持つ「ポルシェ コミュニケーション マネージメント」も搭載された。
大人4人がくつろげるゆとりある室内空間
マカンのウリは、大人4人(乗車定員5名)がゆったりとくつろげる室内空間で、スポーティな走行フィーリングと実用性のバランスが絶妙。シートは911などとは異なりヘッドレストとシートバックが別体のタイプだが、シートそのものの剛性感や座り心地はポルシェらしい硬質感がある。
グレードによってエンジンのパワーは大きく異なる
マイナーチェンジでエンジンが改良され、いずれもパワーアップ。「マカン」が前期237馬力、後期252馬力、「S」が前期340馬力、後期354馬力、「GTS」は前期360馬力、後期380馬力、そして「ターボ」が前期400馬力、後期440馬力といずれも出力を高めつつ洗練度を磨き上げている。
SUVならではの使い勝手のいいラゲッジ
ラゲッジはスクエアかつフラットな形状も使いやすさにつながる。容量は標準状態で500Lで、リヤシートを倒すと最大で1500Lまで拡大可能。リヤシートはご覧のとおり4対2対4の分割可倒式で、乗員の数や荷物の長さに合わせてアレンジできる使い勝手が嬉しい。
試乗判定レビュー
竹岡 圭
マカンをコンパクトなカイエンだと思っている方が意外と多いのですが、じつは全幅はさほど変わりません。全長が短いんです。だから街中でも取りまわしがいいんですよね。どちらかと言うとカイエンのスポーティモデルと考えてもらった方がわかりやすいと思います。このクラスはライバルが多いですが、マカンはやっぱりバランスのよさが別格です。
ポルシェはほとんどの装備がオプションなんですよね。もちろん必要なものはついているんですけど、いざとなると、あれもこれもつけたくなっちゃう。ディーラーで目星をつけて注文したものも、けっこうオプションついてます。なので中古車で選ぶ場合は、どうしてもほしい装備を絞り込んでおいて、あとは妥協するというのが賢い選択です。
高すぎず低すぎずのアイポイント、さすがはポルシェと頷けるダイレクトなハンドリング。ちょっとハンドルを切っただけで思ったとおりに動いてくれるから、大きさを感じさせず取りまわしがラクなんですよね。個人的には「S」グレードがいちばん好み。「GTS」の方がいろいろついてお買い得なのは知ってますが、乗り心地も考えるとこれが好き。
- 平均点
- 5.0
- ポジショニング
- 5.0
- 装備
- 5.0
- 走り
- 5.0
九島辰也
コンパクトSUVというよりもミッドサイズクロスオーバーといった印象のマカン。その理由は既存のSUVたちと異なるスポーティな味つけにある。VWグループ内で基本コンポーネントを共用するという事情を抱えながらも、最終的な味つけがきちんとポルシェしているのだ。マイナーチェンジ後のモデルは、よりその味わいが濃くなったようだ。
ポルシェ、すなわちスポーツカーでありながら、何も不自由なく使えてしまうのがマカンというクルマ。新車の場合は、グレードごとの違いに加えてオプションによって自分だけの1台をオーダーする楽しみもある。逆に中古車は、個体によって装備が異なるところを探すのが楽しいだろう。いわゆる先進安全装備は後期モデルになると充実する。
しっかりした接地感を出しながらも、あたりのやわらかさも感じられる足まわりは絶品。エンジンの反応もよく、そのダイレクト感と気持ちよさに思わずほしくなってしまった。初期の4気筒モデル(ベースグレード)は、この加速度にちょっともの足りなさを覚えたが、改良後はバランスのよさに磨きがかけられていて好印象だったこともお伝えしたい。
- 平均点
- 5.0
- ポジショニング
- 5.0
- 装備
- 5.0
- 走り
- 5.0
グーワールド 編集部
SUVの魅力については、いまここで改めて語るべくもありませんが、その万能ぶりが多くの人気を集めており、マカンはそのなかでも、スポーティかつ高級感のあるという立ち位置にあります。ポルシェのねらいは的中して、世界的な人気モデルとなったマカンですが、中古車市場はこれからがいよいよ本番。400万円台から探せます。
911を思わせるステアリングやカレラGTからインスパイアされたインパネデザインなど、ポルシェらしさが所有欲を満たしてくれます。マイナーチェンジで先進安全装備とインフォテインメントが大幅に充実。これでクラストップレベルの内容となりました。今回試乗した「S」は中間グレードだけあって、快適装備も充実して文句なしです。
アイポイントの高さがなければ、スポーツカーを運転しているかと錯覚してしまう運動性能。それでいながら助手席だけでなく、後席でも快適に過ごすことができるのがマカンの魅力です。中古車はポルシェとしては走行距離が伸びている傾向がありますが、それも使いやすさゆえ。デイリーユースからワインディングまで幅広く楽しめます。
- 平均点
- 5.0
- ポジショニング
- 5.0
- 装備
- 5.0
- 走り
- 5.0
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April 11, 2020 at 05:43AM
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