クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。ついに第50回を迎えた今回は「フェラーリ F50」だ。
フェラーリ F50(1995-1997年)
F40の登場から8年後の1995年、フェラーリの創立50周年を記念して世に送り出されたスーパースポーツカーが、「F50」だ。ちなみにF40は、フェラーリと名のついたクルマが世に出てから40周年を記念したモデルだったので、発表は1987年だった。
イタリア語では「エッフェチンクワンタ」と発音するF50だが、日本ではほとんど「えふごじゅう」と呼ばれている。そんなF50は車名からも推察できるようにF40の後継にあたるモデルだが、「フェラーリの本領は過給にあらず」と、パワーユニットには自然吸気のV12エンジンを縦置きミッドシップ搭載する。過給器を装着しないぶんは排気量を4.7Lにアップし、5バルブDOHCのシリンダーヘッドを組んで、最高出力は520ps、最大トルクは48.0kgmというパワースペックを得ている。
興味深いのは、フェラーリではF50をロードカーというよりはF1マシンに近い、まさに「公道を走るF1」に近いモデルと位置づけたことだ。これは、F40のプロデュースを最後に鬼籍に入った総帥エンツォ・フェラーリの息子、ピエルルイジ・フェラーリのアイディアが基になったといわれている。
その結果、すでに20世紀末ではスーパーカーといえども装着されるのが当たり前になりつつあった、ステアリングのパワーアシストやブレーキのサーボアシスト、そしてABSなどは、ドライバーの正確な制御を阻害するからという理由で装着されることはなかった。
モノコックのシャシはカーボンコンポジット材で製作され、エンジンそのものにシャシのストレスメンバーとしての機能を持たせるため、カーボンファイバー製のパッセンジャーセルの後部にエンジンを直接ボルトで留めている。そこにサスペンションアームを取り付けるなど、まさに構造は当時のF1マシンそのもの。これが、公道を走ることができる、F1にもっとも近いクルマと言われたゆえんだ。
レーシングカーのように無骨だったF40に比べると、はるかに洗練されたF50のスタイリングは、ピニンファリーナの作。ボディパネルの素材は、すべてコンポジット材。ルーフは取り外し可能なバルケッタだが、取り外しはかなり面倒で、しかも外したルーフを車内に収納するスペースはなく、突然の雨は車載のキャンバストップでしのぐしかなかった。
このスパルタンなF50の公称最高速度は325km/h。生産台数は350台ほどだった。
フェラーリ F50 主要諸元
●全長×全幅×全高:4480×1986×1120mm
●ホイールベース:2580mm
●重量:1230kg
●エンジン種類:65度V12 DOHC
●排気量:4698cc
●最高出力:520ps/8500rpm
●最大トルク:48.0kgm/6500rpm
●燃料タンク容量:105L
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:6速MT
●タイヤサイズ:前245/35ZR18、後335/30ZR18
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April 14, 2020 at 04:46AM
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