Aston Martin V8 Vantage / V8 Vantage Zagato
アストンマーティン V8 ヴァンテージ/V8 ヴァンテージ ザガート
DBの冠を下ろし「V8」の時代へ
エッジーでモダンなデザインをまとって1967年に登場したDBSは、DB4から続いた伝統的グランドツアラーの系図に新風を吹き込んだ。新開発のV8を搭載してのデビューを目していたが完成が間に合わず、導入当初は定番ユニットとなっていたタデック・マレック製4.0リッター直列6気筒DOHCユニットを搭載していた。
待望の新設計5.3リッターV8ユニットを積んだDBS V8が現れたのは1969年。1973年に直6を積んだ最後のDBS ヴァンテージがいよいよ無くなり、それと同時に車名からついに“DB”の文字が消えて「アストンマーティン V8」が正式名称となった。以降V8は、長年にわたり同社のメインストリームを担うことになる。
英国初のスーパーカーと呼ばれたクルマ
そのV8に高性能のヴァンテージモデルが追加されたのが1977年のこと。V8 ヴァンテージに搭載した5.3リッターV8ユニットには高性能カムシャフトや高圧縮比、大径インテークバルブ、新設計のマニホールド、大型のウェーバー製48 IDFキャブレターなどを採用していた。
“英国初のスーパーカー”(ときにはブリティッシュマッスルカーとも)という賛辞をもって迎えられたV8 ヴァンテージは最高出力375hpを発揮。0-60mph加速は5.4秒、最高速度は168mph(約270.3km/h)に達した。
「マッスルカー」然としたエクステリア
シャシーにも調整機構付きのKONIダンパー、ショートスプリング、フロントに大径のアンチロールバーを装備。255/60 VR15インチのピレリCN12タイヤを装着するべく、スペーサーを入れてトレッドも拡大していた。
また、空力特性の追求にも力を入れた。フロントエアダムを装着し、塞がれたグリルにはシビエ製のH4ツイン・ドライビングライトを備えていた。ちなみにラジエーターの冷却エアはバンパー下から導入する仕組みとなっている。また、リヤのブートリッド(トランクリッド)にもスポイラーを備えるなど、車体のリフトを抑えるための空力パーツを効果的に配置している。
さらに、ダウンドラフトキャブレター上には大型エアボックスを構えるため、ボンネット上には大きなバルジが大胆に設けられていた。
スケッチ公開時点で完売したザガート仕様
また、V8 ヴァンテージには1986年にオープンモデルのヴォランテ、そしてカロッツェリアのザガートが手掛けたボディを架装し52台のみが生産された特別なモデルが登場している。
とくに後者は、発売前の1985年に限定台数のすべてが完売となった。フルサイズのモックアップどころかスケールモデルも写真さえも存在せず、デザインスケッチのみが公開されただけにも関わらず、である。
V8 ヴァンテージは1989年まで作り続けられ、クーペは372台、ヴォランテが194台生産された。最終的には437hpのハイパワーバージョンもオプションで設定している。0-60mph加速は5.2秒に達していた。
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March 29, 2020 at 09:55AM
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