愛車選びを思い悩む時、それは(たとえ妄想であっても)クルマ好きにとって至福のひとときだ。ところで、皆さんがそんな物思いにふける時、輸入車はその選択肢に入っているのだろうか。
「輸入車は高いでしょ」。確かにそうなのだが、「輸入中古車」なら買える現実味は増すし、探せばグッと値落ちした上質のモデルが出てきたりもする。
中古車相場価格を4つのパートに分け、輸入中古車には一家言あるライター・伊達軍曹がオススメを紹介! 憧れのあのクルマに手が届く!!
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※本稿は2019年12月のものです。各モデルの相場価格の「上限」は細かく調べると際限がないため、4つのテーマ別の上限にしています
文:伊達軍曹、ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年1月26日号
■相場100万~150万円で手が届く中古輸入車コース
100万円台前半では「どうせボロい中古車しか買えないんでしょ?」と思うかもしれないが、事実は異なる。例えばBMW1シリーズだ。
●先代BMW1シリーズ後期(相場:130万~150万円)
さすがにこの予算では現行型ではなく先代になるが、ボロい前期型ではなくパリッとした後期型の低走行物件が充分探せる。
具体的には、強力なディーゼルターボを搭載した2016年式118d Mスポーツの走行4万km台が車両130万円前後といったイメージ。現行型はFFとなった1シリーズだが、先代は甘美なステアフィールが堪能できる、FRレイアウトであるという点も大きな魅力だ。
「1シリーズでは小さくて嫌だ」というのであれば、同じBMWの3シリーズはどうだろう? こちらも100万円台前半で現行モデルを買うのは無理だが、先代であれば車両価格100万円+αぐらいで充分イケる。驚きませんか。
●先代BMW3シリーズセダン(相場:110万~150万円)
「そんなに安いのはボロい過走行車に決まってる!」とおっしゃる人もいそうだが、実際はそうでもない。ベーシックなガソリン直4搭載の320iなら走行1万km台から3万km台までの個体が100万円台前半から検討でき、ディーゼルターボを積む320dも、走行4万km台までOKとするなら充分探せる。
絶対に100万円台前半には見えないし、感じられない、ナイスな選択だ。
■現行ゴルフは100万円ちょいで選び放題。涙が出る!
ハッチバックでは、世界の大定番であるVWゴルフもこの価格帯で余裕。それも、10年も20年も前の古典的なゴルフではなく現行型、ゴルフ7と呼ばれているアレの走行2万km台までのTSIコンフォートラインが、100万円ちょいで選び放題だ。
●VWゴルフ7(相場:80万~150万円)
以前はDSGというツインクラッチ式ミッションに不安がないでもなかったが、ご承知のとおり大規模リコールで問題は解決ずみ。
特にこれといった不安もなく、“世界の大定番”を乗り回すことができるのだ。
■おしゃれコンパクトが100万円から。奥様へも!
しゃれたラテン系コンパクトがお好みの場合は、フィアット500のツインエアが最高だ。100万円台前半という価格帯でかなりの数のフィアット500が流通しているが(しかも低走行物件も多い)、最も数が多い1.2POPは正直やや非力。これが難点。
だが、0.9L 2気筒ターボを搭載する「ツインエア」であれば、動力性能に不満はいっさいないはずで、そしてそれもまた90万~150万円にて余裕で探せる、この事実。うれしすぎる。
●フィアット500ツインエア(相場:90万~150万円)
■相場150万~200万円で手が届く中古輸入車コース
100万円台後半というのは、輸入車を買うにはさすがに「潤沢な予算」とは言い難いが、「まあまあイケそうな予算」だとは確実に言える。
例えばこの予算が用意できるなら、現行型のメルセデスベンツCクラスであっても充分射程範囲内だ。
●現行メルセデスベンツCクラス前期(相場:160万~200万円)
2018年7月以降の後期型は中古車でもまだ320万円以上となるケースがほとんどだが、それ以前の前期型であれば、走行2万km台のC180アバンギャルドが車両180万円前後から。
しかもこれは先進安全装備がセットになった「レーダーセーフティパッケージ付き」の相場。なんともお買い得ではないか。
■快適システム搭載のアウディA4が200万円以内で
そのベンツCクラスと同じプレミアムDセグメントでは、アウディA4の中古車も150万~200万円のゾーンで検討可能。フルモデルチェンジ時期の関係でこちらは現行型ではなく先代になる。
が、ただの先代A4ではなく、2012年4月に行われたマイナーチェンジ以降の後期型、さらには2013年4月の一部変更でフロントシートヒーターとリアビューカメラ付きAPS(アウディパーキングシステム)が標準装備となった最終世代も、この価格帯で探すことができる。アバントが特におすすめだ。
いわゆる型落ちではあるが、総合的な満足度はかなり高いはずだ。
●先代アウディA4アバント後期(相場:140万~200万)
■実用性がほしい? それならミニクラブマンだ
立派なサイズのDセグメントではなく比較的コンパクトな輸入車に目を移すと、例えばミニクラブマンの現行モデルも100万円台後半にて余裕となる。
ミニクラブマンはご存じのとおりのシューティングブレーク(やや小ぶりなワゴン)で、ベーシックな「ワン」というグレードの中古車は以前から比較的安価ではあった。
●現行ミニクラブマン クーパー(相場:190万~200万円)
しかし、ここ最近は動力性能に不満なしの「クーパー」も190万円台で探せる状況になり、いい流れにある。「しゃれてる実用車」が欲しい人にとっては最高に近い選択肢といえよう。
また現行型プジョー308のHDi(クリーンディーゼル搭載グレード)も、この価格帯でぜひ注目してほしい一台。
●現行プジョー308ディーゼルターボ(相場:150万~200万円)
抜群のシャシー性能と極太トルクなディーゼルターボにより、胸のすく走りが可能となる5ドアハッチバックだが、中古車であればそのお値段は160万円前後から。
しかも、その走行距離はせいぜい1万km台か2万km台である場合がほとんどなのである。これを“買いのモデル”と言わずして何と言う!
■相場200万~250万円で手が届く中古輸入車コース
このゾーンは「選びたい放題!」までは無理としても、それに近いニュアンスは生まれてくる価格帯。
例えばBMWであれば、もはや都内では「ありがちな大衆実用車」と言えなくもない感じになってきた3シリーズセダンではなく、ひとひねり利いた4シリーズグランクーペが探せることになる。
●BMW4シリーズグランクーペ(相場:220万~250万円)
BMW4シリーズグランクーペとは、ご存じのとおり先代3シリーズの5ドアハッチバック版なわけだが、「ハッチバック」という言葉から連想される実用大衆感はいっさいなく、ただひたすらにおしゃれ感のみが漂っている大人の選択肢だ。
その420i Mスポーツが今、おおむね210万円~といった相場感である。「ひと味違うアッパーミドル」を探している人には強く推奨したい選択肢のひとつだ。
■うまくいけば200万円で「モテそう」な一台を!
「ひとひねり利いた選択肢」という意味ではアウディA4オールロードクワトロも捨てがたい。
●アウディA4オールロードクワトロ(相場:200万~250万円)
こちらは先代のアウディA4アバントをベースに作られたフルタイム4WDのクロスオーバーモデルで、搭載エンジンは2Lの直噴ターボ。
走りは先代A4アバント後期型同様に素晴らしく、またビジュアルも独特の雰囲気があって「モテそう」な一台と言えるかもしれない。
こちらの走行3万km台くらいの中古車は今、車両230万円前後がおおむねの相場。まさかその価格には絶対に見えないし見られない、かなりおしゃれな選択肢である。
もちろん、ひねり系ではなく定番の王道系でいきたい場合も、200万円台前半の予算があれば充分といえば充分。例えば、現行型はさすがに無理だが先代であれば、メルセデスベンツEクラスの比較的低走行な個体もこの価格帯に入ってくる。
●先代メルセデスベンツEクラス後期(相場:230万~250万円)
しかもビジュアル的にやや微妙だった2013年4月までの前期型ではなく、現行Eクラスに近いフロントマスクになった後期型がイケる。
具体的には走行3万km前後のE250アバンギャルド(レーダーセーフティパッケージ付き)が230万円前後で見つかるだろう。
各種の性能はもちろん現行Eクラスのほうが上だが、先代後期でも普通に乗るぶんには充分以上に素晴らしいサルーンだ。
■国産ミニバンにはない香り。C4グランドピカソ
輸入車には少ないミニバンも狙いめ。大家族には必須のミニバンも、このくらいの予算があればしゃれた一台を見つけることができる。
2018年9月に「グランドC4スペースツアラー」という車名に変わる前のシトロエン製ミニバン、C4グランドピカソの低走行物件がおおむね230万円~という相場状況になっている。
●シトロエン グランドC4ピカソ(相場:180万~250万円)
■相場250万~300万円で手が届く中古輸入車コース
「250万から300万円もの予算があれば天下を取ったも同然!」というのはさすがにオーバートークだが、まずまずの“上級国民感”を放つ輸入車も検討対象に入ってくるのがこのゾーンだ。
例えばランドローバーの先代レンジローバーイヴォーク。
●先代レンジローバーイヴォーク(相場:270万~300万円)
大ぶりなレンジローバーほどの富豪感はさすがにないが、「世田谷か目黒あたりで特に不自由ない暮らしをしている人」ぐらいのイメージは確実にあるプレミアムSUV。実際乗ってみてもなかなか素晴らしいクルマだ。
相場はベースグレードに相当する「ピュア」が260万円~で、上級グレードの「プレステージ」が280万円~といったところ。
現行型と区別がつきにくいデザインであるという点も、中古車としては地味に嬉しいポイント。
■先代BMW X3なら後期。“アッパー気分”な毎日を
同じく人気のプレミアムSUVなら、BMW X3を探してみるのもいい。
2017年10月デビューの現行X3はまだ中古車でも450万円以上となっているが、先代の後期(2014年6月以降)であれば、走行2万~3万km台の物件であっても約280万円から。
●先代BMW X3後期(相場:280万~300万円)
特に2016年7月以降の最終型、「ネバダレザーシート」や「レーンチェンジウォーニング」などが標準装備となった世代が300万円以下で見つかったならば“即買い”を推奨したい。
■280万円でイタリアの風を感じる手もある!
オープン2シーターでも構わないのであれば、イタリアのアバルト124スパイダーも注目に値するだろう。
1960年代に多くのカーガイを魅了した「124スパイダー」のオマージュとして現代に蘇ったモデル。
●アバルト124スパイダー(相場:280万~300万円)
マツダロードスターのアーキテクチャーをベースとしているものの、スタイリングとパワートレーン、室内装備・材料、サスペンションなどはフィアット・クライスラーが独自開発した魅惑のモデルだ。
これの中古車相場は今、おおむね280万円からといったところ。市場にある中古車のほとんどが走行1万km台から2万km台程度の低走行物件。こちらも買いの一台だ。
* * *
手が届いた瞬間、「憧れ」は「現実」になる。いいクルマ選びを!
【番外コラム】実は…相場100万円以下にも目玉モデルあり!
注目は、シトロエンDS3。プレミアムコンパクトといわれるジャンルのフランス車で、デザイン性の高さとシュアな走りは一級品。
途中登場した5速セミATはやや微妙だが、定番の4速ATはおすすめできる。相場は60万~90万円といったところ。
また、先代ボルボV60の前期型も、走行5万km台までの物件が同じく60万~90万円付近で豊富に見つかる。
1.6L直噴ターボとDCTの組み合わせによる走りは痛快で、フロントシートの作りも絶品。状態のいい中古車が見つかったならば絶対の買い。これら2モデル、見逃せない!
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January 20, 2020 at 05:00PM
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