
スウェーデンのボルボで唯一の4ドアセダン「S60」に試乗した。昨年10月に、ステーションワゴン「V60」(Vol.553)を紹介した。それをベースにしたセダンといえる。
車体は、前型車に比べて全幅で1.5センチ狭くなり、1.85メートルに収まった。これは、日本の立体駐車場に適合する限度幅を意識した結果だ。全長は12.5センチ長くなり、全高も4.5センチ低くなるなど車体寸法の変更により、低重心で踏ん張りの利いた勇ましい外観になった。昨今、大きなフロントグリルがはやっているが、ボルボは極端に大きくすることはせず、洗練されて品があり、存在感のある格好いいセダンになっている。
昨年の「V60」の試乗で、ステーションワゴンでありながら軽快な走行感覚で、運転を楽しめたと書いた。この「S60」は、ステーションワゴンのように背の高い荷室部分がなく、より低重心なため、クルマとの一体感が増したハンドル操作が楽しめる。ボルボの各車は前輪駆動(FF)を主体とするが、「S60」は素直な操縦感覚で、山間の屈曲路において、回り込んだカーブでもハンドル操作によく追従し、意のままの走行を堪能することができた。スポーツカーとまではいかなくても、そうした運転感覚の良さが、このクルマの持ち味の一つである。
やや気になったのは、カーブでハンドルを切り込んで保持した際に、ハンドルを元の直進状態へ戻そうとする力が強めに感じたことだ。どのクルマでも、ハンドルを切った状態から元へ戻そうとする力は掛かる。だが、それが強すぎると不自然さを感じてしまう。もう少し復元力が弱くてもいいのではないだろうか。
エンジンは、排気量1968ccの直列4気筒ガソリンターボで、試乗車は高性能グレード「T5」であり、最高出力は254馬力だ。出足の加速はもちろん、アクセルペダルをかなり深く踏み込んで加速させた際の、エンジンが回りきる透き通った排気音も心地よく、動力性能の面においても運転を堪能できるクルマであった。
走行中の乗り心地はやや硬めで、サスペンションの動きがあまり滑らかでない印象もあった。ただ、速度を上げていくと走行安定性が高まり、落ち着きが出て硬めの座り心地も気にならなくなる。高速域での乗り味を重視した設定なのかもしれない。欧州車は全般的にそういう設定が多い。というのも、欧州では、郊外の一般道を時速80キロで走れるからだ。日本でも、高速道路など自動車専用道へ入り、時速80キロ以上で走ると、欧州車の持ち味を実感できるだろう。
国内では、SUV(スポーツ用多目的車)やステーションワゴンの人気が高い傾向にあるが、4ドアセダンは実用性ではあらゆる条件に適合できる車種で、もう一度見直されていいと考えている。「S60」も荷室の奥行きは十分で、かなりの量を積むことができるだろう。また、後席の背もたれを前方へ倒せば、さらに積載量を増やすことができる。その状態でも、荷室と客席が完全に分離されるのがセダンの特徴であり、それによって後輪から伝わる騒音がかなり遮断されるので、静粛性ではSUVやステーションワゴンより優れる。移動の快適さにおいて、やはり4ドアセダンに軍配は上がるのである。
「S60」は、エンジン出力を落とした「T4」と、より上級車種のプラグインハイブリッド車(PHV)の「T6」がある。今回は試乗できなかったが、動力の違いによって異なる持ち味を楽しめるのではないか。メルセデス・ベンツやBMWとは違った乗り味を体感できる「S60」は、4ドアセダンの選択肢の一つとして、忘れてはならない存在だろう。
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December 03, 2019 at 03:20AM
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ドイツ車とは異なる乗り味、セダンの良さを再認識 ボルボ「S60」(Vol.582) - 読売新聞
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