朝日新聞社
車を売らないトヨペット 従業員の仕事は雑談…目的は?
店内に車が1台も無い「トヨペット」が滋賀県大津市の商店街にある。スタッフの主な仕事は、来店した人との世間話。車の販売はしない。一体、何が目的なのだろうか。
JR大津駅から北へ約600メートル。市中心部のナカマチ商店街に26坪の店舗はある。広さ10畳ほどのスペースで、地域のお年寄りらがいすに座って談笑していた。スーツや制服を着たスタッフが、雑談に加わることもある。
ナカマチ商店街は三つの商店街の総称で、長さは計600メートルほど。国の統計データなどによると、1982年は182店だったが、2000年には110店に減った。空き店舗の多さが問題になり始めたが、その後も歯止めがかからず、17年には89店になった。
そんな状況に危機感を持ったのが、トヨタ系列の自動車販売会社「滋賀トヨペット」社長の山中隆太郎さん(73)だ。「私が小さい頃、商店街はものすごい人でにぎわっていた」と振り返る。
昭和から平成にかけ、商店街だけではなく車の売り方も変わった。かつては営業マンが地域を回り、祭りにも参加。客の生活や好みを知り、最適な車を薦めていた。しかし、車が売れたバブル景気の影響もあり、客が来店するスタイルが主流になった。
一方、現在は人口減に向き合わざるを得なくなり、「このままで良いのか」と感じていた。「お世話になった大津の街が寂れることに、何ら関与してこなかった。なんとか復興したい。販売店としても、もう一度、地域に出向かなければ」。そんな思いで山中さんは17年、ナカマチ商店街を構成する三つの商店街の一つ、長等(ながら)商店街に店を出した。
店舗には3人ほどの社員が常駐する。北村浩之さん(62)は、17年の出店当時から支配人を務める。ここへ赴任するまでは企業向けの営業を担当していた。異動の内示を受けたときは「お年寄りが多いのに車が売れるのか」と疑問に思ったが、山中さんからは「目的は車を売ることではなく、地域活性化だ」と言われた。
当初、地域の人に「何しに来たんや?」「介護車を売りにきたのか」と言われた。しかし、対話を重ねるうちに人間関係ができていった。現在は長等商店街の理事長を務める。
誰でも気軽に入れて、ジュースやコーヒーは無料。さらに県内の「道の駅」に車で行けない住民のため、週1回、希望する旬の農産物を取り次いでいる。社員が購入し、商店街の店舗に持ち帰る。手数料は無料。店内には観光パンフレットが置かれ、落語会やコンサートを開いたこともある。
出店当初は店の前に車を1台展示していたが、住民が入りづらいのでやめた。ここでは車を売らないが、住民から車について相談を受けたら応じる。必要に応じて、トヨペットの他の店舗に取り次ぐこともある。
(朝日新聞デジタル 2020年11月22日 11時35分)
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