新型コロナウィルスの感染者数が全世界で22万人を超え、死亡者数は9200名を超えた(2020年3月20日時点)。日本ではなんとか感染拡大抑え込んでおり、中国では収束しつつあるが、欧州、北米では感染者数が増え続けている。
最初の都市封鎖に踏み切った中国湖北省武漢は「自動車の街」であり、日産、ホンダの拠点工場がある(どちらの工場も製造ラインが止まり、一部復旧したものの全面復旧はまだ)。その中国では2020年2月の新車販売台数が80%減まで落ち込んだ。この感染症の拡大具合を見ると、欧州、そして北米も近いうちに似たような状況に陥る可能性がある。
仮に日本でこのまま感染が抑え込めたとしても、もし欧州や北米で自動車工場が止まったり、新車販売が落ち込めば、日本を含む世界の自動車メーカーは(ことによりと2009年のリーマンショック時よりもさらに)大きな痛手を負うだろう。
また、3月16日には(自工会加盟企業として初めて)日野自動車本社に勤務する社員2名の感染が確認され、20日にはトヨタ自動車が愛知県豊田市高岡工場の製造系職場に勤務している20代従業員1名の感染を確認した、と発表している。ついに日本自動車界にも新型コロナウィルスの感染者が確認されたわけだ。
この新型コロナウィルスは、日本の自動車界にどこまで深刻な影響を及ぼすのか。何か自動車ファンに出来ることはないのか。自動車そのものだけでなく、販売や流通にも造詣の深い自動車ジャーナリストの渡辺陽一郎氏に、日本自動車界への影響を伺った。
文:渡辺陽一郎 写真:Adobe Stock、日産、ホンダ
■いくつかの車種での納期の遅れが発生中
新型コロナウイルスの問題が深刻化している。
まず感染された方には、心から御見舞を申し上げたい。最も優先すべきは、有効な治療薬やワクチンの開発だ。
そして、この新型ウィルス感染症が自動車産業に与えている影響も大きい。身近なところでは、輸入部品の滞りなどにより、一部の車種で納期が遅れ始めている。2020年3月中旬時点で、ホンダの販売店からはステップワゴン、日産はキャラバン、スバルではレヴォーグやWRX・S4の納期遅れが聞かれる。
各販売店が共通して述べているのは、「今後どのような車種の納期が遅れるのか、見当がつかない。したがって、クルマを購入するなら早めに行動したほうがいい」ということだ。
今は新車需要の80%が買い替えによるものだから、今まで使ってきた愛車を車検期間の満了に合わせて下取りに出し、新車を買うことが多い。
そうなると、新車の納期が遅れれば、車検期間が満了して愛車を手放したのち、クルマを持てない期間が生じる心配もある。在庫車も選べるが、今はメーカーに発注することが多いため、なるべく早く納車できるタイミングで商談を開始したほうがいい。
また、販売店からは「納期が一度伸びながら、その後に元へ戻ることも多い。メーカーも納期の短縮に力を入れているためだ。今後はいろいろな車種で、納期が伸びたり縮んだり、不安定になることが予想される」という指摘も聞かれる。今はさまざまな物流に遅延などの影響が生じており、クルマもそこに含まれる。
■本来「3月」は新車販売の書き入れ時だが…
新聞などの報道によると、イタリアの被害が深刻だ。アルファロメオを扱う販売店では「在庫車を除くと、通常でも納期が半年前後に伸びることがある。そのために現時点でメーカーからの新型コロナウイルスに関する通達はないが、欧州の被害が深刻化していることは確かだ。好みに合った仕様が在庫車にない場合、あらかじめ販売店に問い合わせておき、手配できた段階で連絡をもらうなどの段取りを取っておくといいでしょう」という。
もちろん、日本メーカーの海外生産車も深刻な影響を受けている。
日産がスペイン工場の生産を一時的に停止した。ホンダもイタリアの販売店を閉鎖するなど、対策を行っている。
現時点の国内販売に対する影響は判断が難しい。
2020年1月の対前年比は12%の減少、2月も10%減ったが、このマイナス傾向は2019年から始まっているためだ。2019年10月には消費増税が行われ、台風19号の被害にも見舞われた。この影響で同月の対前年比は25%減り、11月も13%、12月は2%のマイナスとなっている。新型コロナウイルスの発生で、クルマの売れ行きが影響を受けているのは確かだが、その程度は現時点では不明瞭だ。
特に今のクルマは、前述の通り80%が買い替えの需要に基づく。車検期間の到来などにより、予定されていた時期に購入することが多いから、買わずに済ますわけにもいかない。
またフィット、ヤリス、ハスラー、N-WGNといった話題の新型車は、いずれも納期が3~4か月と長い。今は決算期でクルマが好調に売れる時期だが、これらの新型車が注文(予約受注を含む)を受けたのは、2019年の末から2020年1月であった。先に触れたとおり今後の納期は不明だから、購入を予定しているなら早めに契約したほうがいいが、過去の対前年比の減少をすべて新型コロナウイルスの影響と見るのは早計だ。
このほかモータースポーツなど、各種のイベントも影響を受けている。F1についてはオーストラリアGPが中止され、バーレーンGP、ベトナムGP、中国GPは延期された。
■製造工場は動いても部品が届かない可能性
新型コロナウイルスによる被害の想定を、悪い方向に進めればキリがない。東日本大震災の時も、東北に拠点を置く部品や塗料のメーカーが被災して、日本車が全般的に納期遅延に陥った。新型コロナウイルスの問題は、産業に与える影響としては、世界各国で同時期に災害が発生した状態に近い。
特に自動車は数万点の膨大な部品で成り立ち、その供給は、2次、3次、4次という下請メーカーに支えられている。東日本大震災の時は、自動車メーカーが4次下請メーカーなどの被災情報を把握しておらず(平常時には実務面で把握する必要はなかった)、生産のメドが立たない状態に陥った。
今回は同様のことが世界規模で進んでいるから、想定を悪い方向に進めれば、工場が稼働できても部品が届かずに生産できない状態に陥ることも考えられる。
原油価格は、世界経済が停滞する懸念により、直近では値下がり傾向にある。石油情報センターによると、日本国内で売られるレギュラーガソリンの平均価格は、2020年2月10日時点では1L当たり150円であった。それが3月9日には146円に下がっている。今は値下がり傾向だが、コロナウイルスの感染状況次第では、原油生産量が減って逆に値上がり傾向に転じることも考えられる。
■有力新車が初夏から続々登場予定
このように悪いことばかり考えると、絶望的になっていく。客観的には、有効な治療薬やワクチンが開発されるまで、感染の拡大をなるべく抑えるしかない。外出にはマスクを着用して、手洗いやうがいを頻繁に行うという、当たり前の対策だ。
そしてクルマの流通を含めて経済活動が停滞すると、税収不足なども招いてしまう。そうなれば新型コロナウイルスの対策にも悪い影響を与える。安全に配慮した上で、慌てずに落ち着いて行動することが大切だ。楽観的になるのは禁物だが、だからといってマイナス思考に固まっていたら、いいことはひとつもない。
このあたりは個人の考え方次第でもあるだろう。極端なことをいえば、缶詰と飲料水を大量に買い込み、一歩も外に出ないでアルコール消毒された自宅の中だけで過ごす。それをすることで世の中のためになるのか、そして自分自身が幸せか、ということだ。
自動車業界についていえば、今のような時だからこそ、新型車の発売が必要になる。ユーザーも安全に配慮しながら、新車でドライブを楽しみたい。
楽しみな新車発売の予定もある。直近では、今年6月にトヨタがハリアーのフルモデルチェンジを行い、日産も6月以降にジュークの後継車種となるキックスを発売する。7月にはダイハツがハスラーのライバル車になる新型軽自動車のタフトを発売する予定だ。いずれもアクティブな雰囲気のSUVだから、明るい気分になれるだろう。
今は新型コロナウイルスの影響で、テレワークによって在宅勤務をされている読者の皆さんも多いと思う。通勤時間が減ったぶんをクルマ関連の情報集めに充てて、愛車選びに取り組むのもいいだろう。どんな時でも、クルマを上手に、積極的に活用していただきたい。そして一刻も早い事態の収束を祈りたい。
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March 20, 2020 at 09:50AM
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