ブレーキを踏んでいないと、アクセルを踏まずとも進み出すAT車の「クリープ現象」。AT車で一般的に使われるトルクコンバーターの性質で起こりますが、実はそれを使わないAT車や電気自動車でも、あえてクリープするようにされている場合もあります。
「クリープ現象」なぜ起こる?
AT(オートマ)のクルマは普通、DレンジやRレンジでは停車中にブレーキを踏んでいないと、微速で前進、あるいは後退します。これは「クリープ現象」などと呼ばれ、教習所でも習うAT車の基本的な特徴のひとつですが、実は、本来クリープしないはずのクルマでも、意図的にそうさせているケースがあります。
AT車は一般的に、Dレンジではブレーキを踏んでいないとクリープで動き出す。写真はイメージ(画像:Dzmitry Halavach/123RF)。
クリープが起こるのは、AT車に搭載されたトルクコンバーターの働きによるものです。MT(マニュアル)車はクラッチでエンジンとトランスミッションをつなぎ動力を伝達するのに対し、AT車はトルクコンバーター内の液体によって動力を伝達。そのDレンジやRレンジでは液体が常に動いているため、エンジンとトランスミッションを完全に切り離せずクリープが発生すると、一般的にはこのように説明されます。
ところが、MTのクラッチ操作を自動化したDCT(デュアルクラッチトランスミッション)や、日本車に多いCVT(連続可変トランスミッション)の一部など、広義のAT車のなかにはトルクコンバーターを用いないものもあり、クリープ現象は原理的に起きません。EV(電気自動車)や日産の「e-Power」搭載車に至っては、エンジンではなくモーター駆動なので、そもそもクリープとは無縁のはずです。
本来無縁なのに、あえてクリープ メリットは?
日産によると、EVなどは、あえてクリープするようにしているそうです。
「多くの方がクリープ現象のあるクルマに慣れているので、違和感をなくすためです。『リーフ』のようなEVや『e-Power』搭載車では、電子制御でクリープするようにしています」(日産)
ノロノロの渋滞時にはクリープだけで進む場合も。写真はイメージ(2012年1月、佐藤 勝撮影)。
こうした傾向はガソリン車でも同様で、たとえばダイハツでは現在、多くのクルマで「トルクコンバーター付きCVT」を採用しています。トルクコンバーターを採用する理由は主に2点。クリープのためと、発進時のトルク(エンジンによって生み出される回転力)を増幅させるためで、クラッチ式と比べて2倍ほどのトルクが出るそうです。
また日産は、「車庫入れなどを想定しても、アクセルを踏まずクリープとブレーキだけで操作されている方が多いでしょう」と話します。クリープは、こうしたケースでの運転をしやすくしていると言えるかもしれません。
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November 26, 2019 at 04:00AM
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